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2010年7月24日 (土)

【特撮】『ウルトラマン』(初代)誕生・前夜祭-第1話 超概略

ウルトラマン
(1966.7.17-1967.4.9 全39話)

現代まで後継作が続く大ヒットシリーズですが、やはり一番最初、いわゆる“初代”の『ウルトラマン』こそ最高だと思っています。

Ultraman1

去る7月17日は、『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」が放映された1966年から、44年目の記念日でした
本放送時の『ウルトラマン』は全39話平均視聴率37%、最高視聴率43%とという超人気番組でした。

その第1話放映の1週間前、1966年7月10日には『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』という、いわば前宣伝番組が放送されました。

さすが新番組の「前夜祭」を放送するとは、局も力が入っていると思えます。が、実はそういう事情ではなく、
当初はこの日から本放送がスタートする予定だったが、第1話の制作が間に合わず、急遽差し込んだ苦肉の策だったのです。

これも凄い話で、第1話からそんな状況ではその後が滅茶苦茶になるだろうと思えますが、これには理由があります。

『ウルトラマン』は第1話から順番に撮影を始めたのではなく、
2話以降から先に撮り始め、スタッフ・キャストが少し慣れた上で、第1話に取り掛かったのです。
なので、第1話さえ放送できれば、その後はとりあえずなんとかはなったのです。
(とはいっても、厳しいスケジュールであることは間違いなく、それは最終回まで続くのですが。)


しかし、それでも私は「『前夜祭』は第1話が間に合わないので放送した」という説を初めて聞いた時は、
本当にそんな無茶をしたのかと、疑問に思いました。なぜなら・・。

この『前夜祭』の前週までは、ウルトラシリーズの元祖『ウルトラQ』が放送されてました。
『Q』は全話の撮影終了後に放送が開始されており、スケジュールの問題を抱えてはいませんでした。
その点では後番組『ウルトラマン』は、時間的余裕を持って制作出来たようにも思えますが、
新しい試みも多く取り入れた為難産となり、第1話の放送が危ぶまれるような事態になったのです。


問題は『前夜祭』の内容です。

そんな状況なのだから、普通に考えれば『前夜祭』に手間はかけないでしょう。
撮影済みの映像を繋ぎ合わせて、足りなければ『Q』の映像も加えて、
“前宣伝兼『Q』の総集編”のような番組を急造したというのなら判ります。
実際、『Q』の放送前には撮影済み映像を編集した宣伝番組が放送された記録もあります。(映像は現存しません。)

しかし、『前夜祭』はその状況で制作されたにしては、随分手間がかかっているのです。

『前夜祭』の収録は放送前日の7月9日、杉並公会堂に多くの子ども達を集めて公開録画で行われました。これだけで結構大変そうです。

収録には本編のレギュラーメンバー、つまり科学特捜隊の隊員達も全員参加、
ウルトラマンや怪獣達の着ぐるみも多数出演、
更に『ウルトラマン』の監修も務める「特撮の神様」円谷英二も登場させるというこだわりようでした。
本編の撮影が遅れているのに、こんな面倒なことやっていていいのかと心配になります。
実際、収録会場ではトラブル続出でかなり混乱もあったようです。

勿論、第1話は最終の編集段階であり、『前夜祭』はそれに関わってないスタッフにより作られたのでしょう。
しかし、こんな事情で宣伝番組を作るなら、もう少し手間のかからないものを考えるのが当然のように思えます。
更にいうと、ややこしくなるので書きませんが、実はもっと安直に1回放送分を稼ぐ方法もあったのです。
だから私は、この「第1話が間に合わないので『前夜祭』放送した」説には懐疑的だったのですが、
諸々の記録や証言から間違いないようです。


つまり、苦肉の策で差し込む繋ぎ番組でも決して手を抜かず、
「前夜祭」の名に相応しい舞台を作ろうとした、当時のスタッフの心意気というところでしょうか。

翌週には無事第1話が放映され、『ウルトラマン』は幾多の伝説を作り上げていくことになります。



Hayata0102jpg
第1話ラストシーンより


ところで、ウルトラマンには科学特捜隊のハヤタ隊員(黒部進)が変身をしますが、何故そういう事になったのでしょう?
勿論、第1話で描かれています。

ウルトラマンは逃走する凶悪な怪獣べムラーを追いかけて、遠い宇宙から赤い球状の宇宙船に乗って地球までやってきます。
その宇宙船がパトロール中のハヤタ隊員が乗った小型ジェット機に衝突、墜落させてしまうのです。
ハヤタは当然助かりません。
ハヤタに申し訳なく思ったウルトラマンはハヤタに自分の命を与えると言います。
一心同体になって共に地球の為に働きたい。大きな危機の時はウルトララマンに変身して闘えばいいと語ったのです。

つまり、自分の過失でハヤタを死なせてしまったお詫びが、この物語の、
そして現在まで続くウルトラマンシリーズの始まりだったのです。
もう少し後のシリーズでは、勇気ある行動の末に死を遂げた若者に感動して一心同体になるという展開が主流になりますが。


こういういきさつなので、そもそもハヤタは人間ハヤタの意思で行動しているのか、
それともウルトラマンの意思なのか、という疑問の答えもハッキリしています。
ハヤタを生かす為に自分の命を与えると言ったのだから、ハヤタの意思で動いているのに決まっています。

実は最終回等に、この見方とは矛盾するようなシーンもあるのですが、それは大した問題ではない。
第1話での2人の対話の方がずっと大事です。


上でも書きましたが、こうして始まった『ウルトラマン』は全39話で平均約37%、最高43%の視聴率を獲ります。
今とはTVを取り巻く事情が違うとはいえ、これも凄い数字です。

近年はイケメン俳優目当てに大人の女性もヒーロー物を視たりするようですが、
だいたい怪獣物なんて、子どもでも幼児、それも男の子だけが視るもののように思えます。
しかし、当時の日本の人口分布などわかりませんが、男幼児のいる家庭だけが視聴していたのなら、
43%なんて数字にはならないでしょう。
しかも、最高視聴率を記録したのは最終話から二つ前の回ですから、まったく衰える事なく、ますます上昇途上にあったのです。

それなのに何故終わったかといえば、前回書いたように制作が追いつかなくなったからです。
連続ドラマは1クール13本というのが基準ですから、39話は3クール、もう1クールやれば1周年で、
当然TV局はそれを望みましたが、円谷プロがギブアップしました。
局側もよくあきらめたものですが、勿論少し休んで体制を立て直し、新シリーズをスタートさせる事が前提の措置でした。

このように超人気番組だった『ウルトラマン』ですが、ドラマとしてのクオリティも高いです。まだまだ正当な評価を受けてないのではないかとすら思っています。

Old Fashioned Club  月野景史

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