13.【特集】テレビドラマ

2024年5月 8日 (水)

【ドラマ】『花咲舞が黙っていない』に“半沢直樹”登場 演者は誰か?

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5月11日(土)放送予定の日本テレビのドラマ『花咲舞が黙ってない』“半沢直樹”の登場が予告されています、
しかし演者は未公表で、誰が演じるのかが話題です。





『花咲舞が黙ってない』は2010年代にさん主演で2期放送された人気ドラマ。
現在放送中のは今田美桜さん主演によるリメイク版です。
『半沢直樹』はいわずと知れた堺雅人さん主演の大ヒットドラマ。
両作は共に池井戸潤さんの小説が原作。

とはいえ『半沢』はTBS制作で、他局の番組。
この共演は無理にも思えますが、実は原作小説の『半沢』と『花咲』は同じ世界線にある物語で、
実際に原作『花咲』に半沢直樹が登場します。
つまり、今回の共演は原作に即したものといえるのです。

ただ、ややこしいのは“時系列”でいうと、原作の『花咲』は『半沢』よりも古い時代を描いており、
それに即するならば、半沢は30代くらいの俳優が演じるのが妥当です。
とはいえ、放送中のドラマ『花咲』は時代設定をスマホが当たり前の現代に移しており、
予告で登場した半沢の名刺に記された役職は本社の次長なので、もう少し年長の俳優が演じると思います。


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では半沢直樹を演じる俳優は誰か?
予告動画の後姿とネットニュースの記述がヒントですが、正直よくわかりません。
予告では声も公開されていますが、これは加工しているか、別人だと思います。
もちろん堺雅人さんならばビッグサプライズですが、さすがにそれはないでしょう。
というわけで、誰かを当てにいくより、誰なら受けるか、との視点で考察してみます。


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ネット上では、ドラマ『半沢』の出演者ではとの予想があります。
私もそう思う、というより、そうであれば盛り上がると思います。
ただ、2期放送された『半沢』はキャストも多い。
ひとめ見て『半沢』の出演者とわかる40-50代の俳優というと、香川照之さんはないだろうから、
及川光博
滝藤賢一
片岡愛之助
といったあたりが思い浮かびます。

私は及川ファン(というより『相棒』の神戸尊ファン)なので、及川さんだと嬉しいですが、
『半沢』で助力者の役回りだった及川さんや滝藤さんよりは、
強烈な敵役だった愛之助さんが半沢をやった方が、インパクトがあるかも知れません。

実は現『花咲』主演の今田美桜さんは『半沢』2期に出演していました。
そこで主要キャストとしてがっちり絡んでいた賀来賢人さんの名前も挙がっています。
今田さんとの共演という点でいえば絶好のサプライズキャストです。
ただ、34歳でちょっと若いのと、やはり『半沢』は1期に出ていた人の方がインパクトがあります。


別の視点で、旧『花咲』に出ていた上川隆也さんが新作に別役で出ていることから
旧『花咲』の出演者とも考えられますが、旧レギュラーキャストに適任者がいません。
生瀬勝久さん(63歳)ではちょっと年齢が上過ぎか。
実は2期に成宮寛貴さんが出ていたののですが、引退していますし。
ゲストだと、田中圭さんなどもいるのですが、どうでしょう。

この件についての池井戸氏の「引き受けた俳優は勇者」との発言から『勇者ヨシヒコ』の山田孝之さんとの見方もあります。
堺さん演じる半沢直樹のモノマネが上手いキスマイの宮田俊哉さんも面白いと思いますが、35歳とちょっと若いか。

花咲とバディを組む相馬役の山本耕史さんが半沢と二役をやるのでは、などという見方もあります。
私はそれはあまり意味がないので、ないかと思いますが、予告動画の後姿は似てなくもない。


思えば前述の愛之助さんは、テレビドラマの俳優としては『半沢』でブレイクした人ともいえます。
サプライズ効果、一番受けるという点では彼かな。
ということで、このブログとしては片岡愛之助をいち推しとさせてもらいます。

Old Fashioned Club 月野景史

2024年1月 1日 (月)

【俳優】『アイゾウ』夏子/『心霊内科医 稲生知性』シソンヌじろう 今年の活躍を期待

昨年2023年3月、同時期に二つの深夜ドラマが連夜集中放送されました。
『稲生知性』はまったくの新ドラマでした。

当ブログとしては、『稲生知性』は大きな反響があり、今回の新作放送でも再度アクセスが集中しましたが、
『アイゾウ』の方はさっぱりでした…、まぁそれはどうでもいいのですが。


『アイゾウ』の主演は夏子
『稲生知性』の主演はお笑いコンビ「シソンヌ」のじろう
俳優としては決して知名度が高いとはいえない二人でしたが、どちらも好演であり、作品としても秀逸でした。
じろうの役柄はポーカーフェイスで、演技力の判断は難しいのですが、ピタリはまっていました。
夏子は実力を感じる演技で、私はこの二人のファンになりました。

実は昨年10月クール深夜にこの二人が共演する連続ドラマが同じフジテレビ系(制作はカンテレ)で放送されました。
『時をかけるな、恋人たち』(2023年10月-12月)

二人の共演に期待したのですが、このドラマは深夜枠とはいえ、23時と早めのスタートのためか、
主演が吉岡里帆、永山瑛太というゴールデン・プライムタイム級の組み合わせであり、
夏子とじろうは脇役での出演でした。
じろうはレギュラーですが、あまり目立った活躍はなく、
夏子は準レギュラー的な立場で、見せ場は多くはありませんでした。
じろうはその後の年末に『稲生知性』の新作があり、よかった。
『アイゾウ』の新作も希望。
もちろん他のドラマでも、二人の2024年の活躍に期待しています。
Old Fashioned Club  月野景史

 

2023年12月29日 (金)

【ドラマ】『心霊内科医 稲生知性2』終了/今回も面白かったが高橋事件は解明されず

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『心霊内科医 稲生知性2』の4夜連続での放送が終わりました。
賛否あるところですが、今回も面白く視聴しました。

第1期の際に書いたブログには思わぬ多くのアクセスがありました。
そこでも予想しましたが、やはり今回は稲生知性(じろう)中岡俊子(伊勢佳世)
大学医学部時代の同期生で、稲生の助手を務める髙橋守(中村鶴松)の殺害を中心に、
彼らの学生時代のことが大きなテーマとなりました。

ただ、彼ら自身についての比重が大きくなると、一話完結の事件解決ものとしては、
全4話のボリュームでは、やや物足りないということになってしまいます。


助手の高橋に纏わる事件
大学時代に殺害された高橋は、自分を殺した犯人がわからず、霊として稲生に取り憑き、
稲生と共に犯人を捜しつつ、稲生の助手として主に患者の身辺調査を担当しています。
霊なので中岡には見えず、声も聞こえませんが、前期のラストで存在が明かされました。

今期は第1話で、患者に取り憑いた怨霊が高橋に成りすますという、変則技を入れ込んできました。
既に1期で4本放送しているとはいえ、第2期の初回ではまずは高橋の調査により真相解明という基本パターンを
やるべきだと思うのですが、その余裕がなかったのかと思えました。
また高橋事件絡みと、それとは無関係の“一般の”事件とが錯綜し、
初めて観る人からすると、少しややこしかったのではないかと思えます。


俳優たちの熱演
今期は高橋絡みも他の事案も、怨霊(特に女性)がパワーアップし、ホラー度が増したようです。
怨霊役も、取り憑かれる患者側を演じた俳優も、総じて熱演でした。
一部著名な俳優・タレントもいますが、一般的知名度が高くない俳優も多く(そもそもレギュラー陣がそうですが)、
キャスト面で、新たな発見があるのも、このドラマの魅力です。

次期は・・・?
そして最終話は、高橋事件の真相も次期に持ち越しと・・・といった終わり方でした。
第1期は高橋殺害の犯人は稲生では? と思わせるような印象で終わりましたが、
その疑義は今期で一応否定され、今度は中岡に疑惑か向けられたような、そんな余韻のラストでした。

次がある、という可能性を残したのは、このドラマのファンとしてはよかったです。
ただ、高橋事件を持ち越したところはちょっと微妙。
高橋の件はけりをつけ、一話完結(あるいは二話完結でもいいですが)の事件解明に注力してもらいたい気もします。
もっとも、高橋殺害の真相が解明されたら、高橋の霊は成仏して消滅ということになってしまうのかも知れません。
それは寂しいし、基本設定が崩れてしまうので、痛しかゆしですが。


第1期との相違点
第1期は映像(動画)で描かれる物語の舞台はクリニックの診察室と受付、ビルの階段だけに限定されていたと思います。
後はクリニックのビルの外観の映像だけ。
クリニック以外での出来事は、静止画を挿入しつつの説明で済ませていました。
低予算のためとも推測できますが、舞台を医院に限定することによる演出効果もあると思います。

第2期はクリニックのビルの屋上がまず舞台になりました。屋外での演技は初めてだったと思います。
そして、中岡が大学の同期生の女性と喫茶店で会うシーンがありました。
ただ喫茶店のシーンは、実は中岡が怨霊により見せられた、幻覚だったのです。
屋上は医院のビルの一部、喫茶店は幻とすれば、相変わらず医院以外の舞台は登場していない、
ということにはなります・・・、そこまで意識してやっているかは不明ですが。


Old Fashioned Club 月野景史

2023年12月23日 (土)

【ドラマ】『心霊内科医 稲生知性2』/春に話題を呼んだドラマが4夜連続で新作放送

このブログの今年2023年の投稿で最も反響があったのが、このドラマについて書いたこれ。
【心霊内科医 稲生知性】霊と話す医師/深夜のフジで4夜連続放送された、思わぬ拾い物ドラマ

今年の3月末に4夜連続で深夜に放送された30分ドラマ。
この年末にも、同じく4夜連続で新作が放送されます。

Inoa


『心霊内科医 稲生知性2』
(しんれいないかい いなおちせい2)
12月26日(火)24:25~24:55
12月27日(水)24:05~24:35
12月28日(木)24:50~25:20
12月29日(金)24:55~25:25
https://www.fujitv.co.jp/inaochisei/ 


4人だけのレギュラーキャストは続投とのこと。
主人公の稲生知性を演じるのは、じろう(お笑いコンビ「シソンヌ」のメンバー)
ヒロインポジションは稲生の医学部時代の同期で、こちらは普通の心療内科医の中岡俊子の伊勢佳世
稲生の助手の髙橋守に若手歌舞伎俳優の中村鶴松
「稲生心療内科」の受付、小池志摩子に平田敦子

シソンヌは『キングオブコント』優勝のコンビですが、
じろうさんは俳優として有名とまではいえないだろうし、
他の3人は、少なくとも一般のドラマ視聴者にとっては無名といっていいでしょう。
そんなメンバーによるドラマですが、3月放送の4本はよく出来ていたました。
今回も楽しみです。

※放送は終了しました。感想等は→こちら


Old Fashioned Club 月野景史


2023年9月19日 (火)

【ドラマ】日曜劇場『VIVANT』最終回は局面急展開で予想不可能

TBS日曜劇場『VIVANT』は9月17日(日)に最終回第10話が放送されました。
ネット上では様々に考察・予想が行なわれましたが、
部分的に当てた人はいても、最後までの展開を予想できた人はほとんどいないでしょう。

私は乃木憂助(堺雅人)の更なる真実について、ナイツ塙さんの説を引用してブログを書きましたが、
かすりもせずというところでした。
また、野崎守(阿部寛)と柚木薫(二階堂ふみ)は、少なくともどちらか1人は何かあるだろうと思っていたですが、
特に隠していた秘密が明らかになるといったこともありませんでした。


前回も書きましたが、このドラマは局面が大きく転回していくので、
細かな伏線めいたシーンを頼りに予想しても、全然追いつかないことがあります。
最終回の、ベキ(役所広司)が自分を見捨てた公安警察幹部への復讐のために
日本に(連行される形で)乗り込んでくるという怒涛の展開は、予想し難いものでした。

色々ツッコミどころはあるのですが、
ハラハラドキドキ、そして“考察”しながら、楽しませてもらったドラマでした。
続編はあるのかないのか?

Old Fashioned Club 月野景史

2023年9月13日 (水)

【ドラマ】怒涛の展開『VIVANT』最終回は綺麗にまとまるか/ナイツ塙さんの考察も紹介

TBS日曜劇場『VIVANT』(ヴィヴァン)は次回9月17日(日)の第10話が最終回
前回は本編放送前のゴールデンタイムに大がかりな特番を放送しました。

Vivan

しかし、もう後は最終回だけとは、上手いことまとめられるのでしょうか?
とても回収し切れないほど多くの伏線が張り巡らされているようにも思えますが。
私も今更、最終回の考察合戦に参戦しようというわけではありませんが、
このトラマについて少し書いてみます。


『半沢直樹」の境雅人主演
「日曜劇場」で堺雅人さん主演となれば、誰でも『半沢直樹』を思い出すでしょう。
2010年代の大ヒット作品、そして超高視聴率ドラマでした。

スリリングな展開が魅力の『半沢直樹』でしたが、原作小説のあるドラマです。
なので、ある程度展開は読めてしまうのですが、それでもあれだけハラハラドキドキさせれられて、見事でした。

対して、『VIVANT』は原作のないドラマ。
『半沢』との違いはバイオレンス・アクション、国際性、ファンタジーめいた陰謀論など色々ですが、
なにより、原作のない分、予測不可能な展開で視聴者を徹底的に翻弄しよう、との制作側の強い意図を感じます。

予測不可能なことをやろうとすれば、どうしても粗が出るものですが、
このドラマは局面が大きく転回するので、それについていくので精一杯で、粗など気にしてしてられないという面があります。
一方で、細かな伏線めいたものは大量に散りばめられており、そこにこだわっての考察合戦にも熱が入るのですが、
色々推察して予想しても、思わぬ方向にストーリーも舞台も動くので、追いつかないのです。


野崎(阿部寛)と薫(二階堂ふみ)は?
さて、初回から観ていますが、
このドラマは乃木憂助(堺雅人)と野崎守(阿部寛)、柚木薫(二階堂ふみ)の3人が主役だと思っていました。
このうち、乃木については「実は“別班”である」ことが明らかになる中盤から怒涛の展開でした。

対して、野崎と薫は隠している秘密が露わになるといった展開がありません。
この2人、特に薫については何も無い筈はない、きっと秘密があるのだろうと思っていました。

ところが、終盤を迎えて舞台は再びバルカ共和国、そしてテロ組織の“テント”内に移り、
日本にいる野崎と薫はドラマに登場すらしなくなってしまいました。
この状況で、最終回で薫が久々に出てきて「実は・・・」という展開があっても、
それだけで大きなインパクトはない。


乃木の更なるサプライズ
となると、やはり乃木周辺に何か大きなサプライズがあるのかとも思えます。
これについて、ドラマ好きとしても知られる漫才コンビ「ナイツ」の塙さんがユニークな“考察”をしています。



ナイツ塙会長の自由時間 「【VIVANT】ドラマ中毒芸人ナイツ塙が考察!」


要約すると、実は、堺さんの役は本物の乃木憂助(ベキ=乃木卓(役所広司)の息子)ではなく、
松坂桃李さん演じる黒須駿こそが、本物の憂助ではないかというのです。
2人は共謀して、何か大きな目的の為に入れ替わりを演じていると。

この説、堺さんの役が乃木憂助ではないというのは、私もちょっと思っていました。
細かいことはともかく、もはやそこくらいしか乃木についてのサプライズがないと思うのです。
今更、このドラマのキーワードでもある三組織「別班」「公安」「テント」をこねくり回し、
乃木が今まで縁のないのは公安なので、実は公安でしたとかいっても、だからどうだという感じです。
堺さん演じる乃木憂助は偽者! これはインパクトあります。

しかし、松坂さんの役が本物の憂助で、堺さんと入れ替わっているというのはどうか?
まず入れ替わり、なりすましをするには堺さんと松阪さんの年齢差が15歳と離れ過ぎています。
たが、この点は俳優の実年齢にこだわると考察を誤ることがあるので、問題無しとしても、
2人が共謀して入れ替わる合理的な理由が思いつきません。

かといって、松坂さんでなければ、本物の乃木は誰かとなると、これも難しい。
もし、塙さんの予想通りで、かつ2人が入れ替わる納得の理由が示されれば、
これはドラマとしても凄いし、塙さんもさすがなのですが。

それにしても、今回名前を挙げた主要キャスト以外にも、
まだ何か隠してそうなキャラクターはたくさんいます。
どう決着をつけるのか、そもそも決着をつけるのか?

塙さんも言っていますが、続編を見据えたラストになる可能性もあるでしょう。
それはそれでいいですが、にしても一応の納得ができる最終回であってほしいとは思います。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月30日 (金)

【時代劇】『江戸を斬るⅡ~Ⅵ』西郷輝彦主演/異色の遠山金四郎ドラマ

先日、昭和の名作時代劇ドラマ『江戸を斬る 梓右近隠密帳』について書きました。
チバテレビでの再放送に絡めての執筆でしたが、チバテレでは引き続いて
シリーズ第2部となる『江戸を斬るⅡ』の再放送が始まりました。
今回はこちらについて書きます。

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『江戸を斬るⅡ』
1975年11月10日-1976年5月17日
メインタイトル『江戸を斬る』は同じでも、
1部と2部では登場人物も時代も(もちろん江戸時代ではありますが)まったく違うドラマです。

第1部は江戸時代もまだ初期の三代将軍徳川家光の時代、
家光の腹違いの弟で、架空の人物 梓右近(竹脇無我)が主役。

第2部は幕末に近い天保時代。有名キャラクターの遠山金四郎を西郷輝彦が演じました。
好評につき、第6部となる『江戸を斬るⅥ』まで5シーズンが制作され、
『水戸黄門』『大岡越前』と人気時代劇が並び立つ、「ナショナル劇場」の黄金期を築きました。


時代劇の新ヒーロー誕生
遠山金四郎、ご存じ“遠山の金さん”が主役といっても、お白州で桜吹雪の入れ墨を見せて見栄を切る、
映画やNET(現テレビ朝日)のシリーズでのお馴染みのシーンはほとんどない、
「金さん」ものとしては、異色のドラマということになるかと思います。

主演の西郷輝彦は1960年代は橋幸夫、舟木一夫と共に“御三家”として知られた人気歌手として活躍。
1970年代になると、歌謡界の主役は新御三家に取って代わられますが、
戦中戦後の大坂を舞台としたドラマ『どてらい男(やつ)』(1973年-77年)の主演で俳優としてブレイクします。
そして、『江戸を斬るⅡ』の主役に抜擢されたのでした。

前作の竹脇無我は完璧な二枚目ヒーローでしたが、
本作の西郷輝彦さんは更に若く(年齢は竹脇さんとさほど変わらないけど)、
細身でシャープ、キリっとした男っぽいイメージ、時代劇の新ヒーロー誕生を印象づけました。


金四郎の出番が少ない!?
さて、今回第2部を久々に再見して違和感を覚えたのですが、
主人公 遠山金四郎の西郷さんの出番が少ない、あまり出てこないように感じるのです。
例えば、ラストで金四郎の仲間のレギュラーと善玉ゲストが顔を揃えて大団円、
というような場に、当然いるべき金四郎がいなかったりとか。

実は西郷さん、前述の俳優としての出世作『どてらい男』とのかけもちだったのです。
それはさぞかし忙しかったことでしょう。

『とてらい男』は「戦後編」「激闘編」などと分かれているので、私はその間にインターバルがあり、
休止中に『江戸を斬るⅡ』を撮っていたのかと思っていたのですが、休止期間のないドラマでした。
となると、当時の西郷さんの細くてシャープなイメージも、もしかしたらスケジュールがきつ過ぎて痩せていた?

その分、大活躍だったのがヒロインの松坂慶子さん。
第1部『梓右近隠密帖』と同様の名家の娘ながら剣の達人、覆面姿で立ち回りもするヒロイン。
ただ、第1部ではヒロインとはいっても、出演回は少なく、実質のヒロインは榊原るみさんでした。

今回は文句なしのヒロイン。
いなせな魚屋姿から町娘、お姫様、覆面女剣士「紫頭巾」と姿を変えつつ大活躍しています。

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Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月29日 (木)

【ドラマ】『緊急取調室』のファイナルに暗雲/市川猿之助容疑者の事件の余波

市川猿之助容疑者が一昨日、逮捕されました。
この件はまだ不明なことも多く、事件そのものを論じる気もありません。

ただ、今回の逮捕よりたいぶ前、事件の発生から間がない時期からですが、
この件はあるドラマの関係者やファンにとっては、深刻な余波を生んでしまっていました。
6月16日に予定されていた映画『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』の公開延期です。


『緊急取調室』(通称:キントリ) は天海祐希さん主演の警察ドラマ
2014年から2021年まで不定期に4シーズン放送、2022年1月にスペシャルドラマが放送されました。
公開予定だった映画は「THE FINAL」と付くので、その最終作ということになります。
猿之助容疑者はドラマ版の出演歴はなく、劇場版のメインゲストで、取調べを受ける総理大臣役での出演。

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現在、猿之助容疑者の役に代演を立て、取り直す方向で調整されているようです。
出演者の不祥事で放送・公開中止、撮り直しになる傾向に批判的な意見もありますが、
今回の場合はさすがに仕方ないか。

キントリのメインテーマは「取調べ」です。
その取調べを受けるメインゲストが、実際の事件の容疑者で、現実に取調べを受ける側になってしまったとは。
この役柄での出演、そのまま公開は、さすがに厳しいでしょう。

しかしそれにより、4シーズン続いた人気ドラマが、
初の映画版で最後を飾る、最高の舞台が用意されたのに、暗礁に乗り上げてしまいました。

しかもこの映画、本来は昨年公開予定だったのが、安倍元首相の銃撃を余波で一度延期になっており、
そして今度は、単に延期どころではなく撮り直しとは、よくよく運がありません。



『緊急取調室』
2010年代スタートの警察ドラマの代表的傑作
私も大変好きなドラマです。
警察ドラマの人気シリーズを多く抱えるテレビ朝日の放送ですが、
『相棒』や『科捜研の女』と違い、テレ朝の関連会社である東映制作ではありません。
そのせいか、一味違った魅力があります。

主演の天海祐希さんにとっても、2010年代の代表作のひとつと言っていいでしょう。
まだ終わるのはもったいない気もしますが、一方で仕方ないかとも感じます。
一部主要キャストの高齢化問題があるのです。

このドラマは主要レギュラーとして初回から、
田中哲司、鈴木浩介、速水もこみちといった、比較的若い俳優も出演しています、
ただ、鈴木さんと速水さんは別部署の刑事、田中さんは天海さんの上司役ですが、基本的に取調べはしません。

天海さんのもっとも身近な存在で、共に取調べを担う同僚警察官=取調べ官 三人は、
小日向文世、大杉漣、でんでんと、スタート時点で60代の俳優が揃っていたのです。
60歳は警察官の定年です。
『相棒』のように、長く続けるうちにキャストが高齢化したのなら分かりますが、最初からこの年齢構成は珍しい。

このキャスティングでは早いペースで続編を作っていかないと、続けられなくなるぞと思っていたのですが、
シーズン2終了後に大杉漣さんが亡くなり、主要キャストの一角が崩れてしまいました。
大杉さんの後任で塚地武雅さんがレギュラー入りしましたが、
塚地さんの役どころはIT系に強い後方支援型で、取調べ官は実質一人空席の状態で続いてきました。


実は2021年9月にシーズン4が、キントリが活動停止になり、メンバーは他部署に異動という形で展開で終了しました。
その後、大して間を置かず、2022年1月にスペシャルが放送されたのですが、
小日向さんとでんでんさんは異動先から戻ってこず、比嘉愛未さんと野間口徹さんがチームに加わりました。

その時は、今後はこのメンバーでシリーズを続けていくのかとも思ったのですが、
劇場版が本来は2022年に公開予定だったのだとすれば、
このスペシャルはそれに向けての序章だったのでしょう。

つまり、オリジナルメンバーが元気なうちに幕を降ろそうという判断だったようです。
それはそれでひとつの考え方で、ファンとしては支持しますが、
今回の事件で、とんでもないことになってしまいました。
メインゲストの出演シーンを、すべて撮り直しとは・・・。

しかも、不幸はそれだけではない。
劇場版と連動する形でスペシャルドラマも放送予定だったとのことですが、
そちらには大麻で逮捕された永山絢斗容疑者がメインゲストとして出演しているとのこと。

まさに呪われているのか!という感じですが、
この苦難を乗り越え、なんとか取り直して劇場版公開、
そしてスペシャルドラマも放送してほしいものです。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年6月25日 (日)

【ドラマ】『相棒』で多くの傑作を残した古沢良太氏/大河ドラマとの相性は(?)

今年の大河ドラマ『どうする家康』は古沢良太さんの作。
(「ふるさわ」ではなく「こさわ りょうた」と読みます)

古沢さんは『リーガル・ハイ』シリーズや『コンフィデンスマンJP』など、
民放の人気連続ドラマのライターとして知られます。
(『コンフィ~』は連ドラとしては視聴率的に成功作とも言い難いですが、映画版はよかったようです)


その古沢氏ですが、かつては『相棒』の主力脚本家の一人で、
印象的な傑作を多く残してきました。

大作ではシーズン5、2007年の元日スペシャル「バベルの塔〜史上最悪のカウントダウン!」などは
『相棒』の長時間スペシャルの中でも屈指の傑作でしょう。

他にこのブログでも通常回の傑作として紹介した以下のエビソードも古沢氏の作です。
シーズン5 「スウィートホーム」
シーズン12 「待ちぼうけ

更に、花の里2代目女将・月本幸子(鈴木杏樹)がレギュラー入りする前の、
初登場回を除く3本の登場回も古沢脚本で、こちらもいずれも傑作回です。

随分「傑作」を連呼しました。
私が“古沢『相棒』”のファンなのだと言うべきかも知れません。

しかし、残念ながら上述の「待ちぼうけ」(2014年)を最後に、
古沢さんは『相棒』と疎遠になっているのですが。


さて『どうする家康』はどうなのか?
どうも評判は今ひとつに感じます。

視聴率も二桁をギリギリ保っているような状況で、
今の時代に悪いとまではいえなくても、「良い」ともいえないでしょう。

古沢さんの身上は、一話完結の中で見せるトリッキーな展開にあるように思います。
特に「待ちぼうけ」などはその典型。
冒頭から何が起こっているのがさっぱり分からないけど、
テンポの良い流れと、ユニークで印象的なシーンで視聴者を惹き付け、
やがて全体像が見えてきた時の驚き、見事でした。


しかし、大河ドラマではどうか。
やはり1年かけて継続していく物語だし、
歴史物なので、大枠でいえば先のストーリーは分かっています。

もちろん、その上で面白く作っていくのが腕の見せどころでしょう。
ですが、どちらかといえば向かない分野のようにも思えます。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年4月18日 (火)

【ドラマ】『江戸を斬る 梓右近隠密帳』竹脇無我主演 豪華キャストの伝説の傑作時代劇

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『江戸を斬る 梓右近隠密帳』

1973年9月24日~1974年3月25日 放送

江戸を斬る』といえば『水戸黄門』や『大岡越前』と同じ
TBSの『ナショナル劇場』で放送されていた時代劇ドラマの人気シリーズで、
西郷輝彦や、たいぶ後には里見浩太朗遠山金四郎を演じた作品として記憶している人が多いでしょう。

しかし、金さんが主役になったのは第2部以降で、第1部は別のドラマでした。
タイトル通り、「梓右近」なる架空の人物を竹脇無我が主役として演じたドラマだったのです。
このドラマの再放送がチバテレビで4月16日から始まりました。水曜-日曜の20時放送とのこと。
今日はこの昭和の傑作時代劇を紹介します。

このドラマは『大岡越前第3部』→『水戸黄門第4部』に続いて放送されました。
『黄門』と『越前』に交互に放送するローテーションが確立しつつあった時期に、
『越前第4部』を飛ばして、『梓右近』が放送された形です。


『大岡越前』の実質的なスピンオフ
そして、このドラマは実質的に、『大岡越前』の準主役である榊原伊織役の
竹脇無我さんを主演に据えた、『越前』のスピンオフ作品と言っていいかと思います。

もちろん、伊織と右近は別人ですし、人物設定も時代も違うので、
厳密にいえばスピンオフではないですが、伊織と右近のキャラクターは良く似ています。

そして主要なレギュラーキャストの配置が『越前』に極めて近いです。
例えば、目明しの大坂志郎、その配下の岡っ引きに高橋元太郎、密偵ポジションの松山英太郎
更に長老ポジションで片岡千恵蔵、他に志村喬、中村竹弥といった大物が『越前』と同一キャストです。


大江戸版『水戸黄門』
そもそも、主役の梓右近とは何者か?
徳川三代将軍 徳川家光の異母弟で会津藩主の保科正之。これは実在の人物。
この正之の双子の弟という設定の人物が、本編の主役 梓右近なのです。

右近は家光、そして正之の依頼を受け、普段は浪人として町に隠棲しつつ、
江戸にはびこる悪を暴き、懲らしめるという役を担います。
そして、その際には、水戸黄門の印籠同様、葵の御紋の刻まれた剣を抜くのです。
大江戸版の『水戸黄門』といったところです。


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豪華キャスト・キャラクター
このドラマはレギュラー・準レギュラーキャストが大変豪華です。

それも出演俳優が豪華なだけではなく、
登場人物が、歴史上の有名人だったり、時代小説や時代劇映画の人気キャラクターが多く、
それを大物俳優たちが演じているのが特徴。
初回に登場したキャラを挙げてみます。

大久保彦左衛門を片岡千恵蔵
柳生但馬守宗矩を志村喬
柳生十兵衛を若林豪
丸橋忠弥を加藤大介(志村喬とは『七人の侍』のコンビ)
松平伊豆守を神山繁
一心太助を松山省二(松山英太郎と兄弟共演)
大久保家の用人、笹尾喜内を牟田悌三
徳川家光に長谷川哲夫
そして、シリーズ通しての敵役・ラスボスの由井正雪を成田三樹夫が演じています。


更に女優陣も豪華
柳生但馬の娘を演じヒロインを務めるのは、前述のように松坂慶子
更に榊原るみ鮎川いづみと、当時21~22歳の若手人気女優が並びます。
これもナショナル劇場としては、珍しい趣向です。
上に貼った当時のポスターでも、女優陣を大きめに扱い、華やかさを強調しています。

これらに加えて前述の大坂志郎高橋元太郎松山英太郎らが第1話に揃って出演しています。
連続ドラマの通常1時間枠の単回としてはあり得ないほどの豪華さ。
中村竹弥石谷十蔵役で第2話から出演)
回が進めば準レギュラーやゲストに更に大物俳優が登場していきます。

と、豪華俳優ばかり強調しましたが、
なんといっても、この頃の竹脇無我さんのかっこよさはすごい!
美人三女優競演も、この今でいえば“超イケメン”の主役あってこそ映えます。
3人とも右近に恋ごころを持つ、『黄門』や『越前』には無い構図です。

華やかさもある痛快娯楽時代劇にして、重厚さを合わせ持つ昭和の傑作。
令和の世でまた観れるとは嬉しいことです。

Old Fashioned Club 月野景史

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