11.【特集】『相棒』

2023年6月25日 (日)

【ドラマ】『相棒』で多くの傑作を残した古沢良太氏/大河ドラマとの相性は(?)

今年の大河ドラマ『どうする家康』は古沢良太さんの作。
(「ふるさわ」ではなく「こさわ りょうた」と読みます)

古沢さんは『リーガル・ハイ』シリーズや『コンフィデンスマンJP』など、
民放の人気連続ドラマのライターとして知られます。
(『コンフィ~』は連ドラとしては視聴率的に成功作とも言い難いですが、映画版はよかったようです)


その古沢氏ですが、かつては『相棒』の主力脚本家の一人で、
印象的な傑作を多く残してきました。

大作ではシーズン5、2007年の元日スペシャル「バベルの塔〜史上最悪のカウントダウン!」などは
『相棒』の長時間スペシャルの中でも屈指の傑作でしょう。

他にこのブログでも通常回の傑作として紹介した以下のエビソードも古沢氏の作です。
シーズン5 「スウィートホーム」
シーズン12 「待ちぼうけ

更に、花の里2代目女将・月本幸子(鈴木杏樹)がレギュラー入りする前の、
初登場回を除く3本の登場回も古沢脚本で、こちらもいずれも傑作回です。

随分「傑作」を連呼しました。
私が“古沢『相棒』”のファンなのだと言うべきかも知れません。

しかし、残念ながら上述の「待ちぼうけ」(2014年)を最後に、
古沢さんは『相棒』と疎遠になっているのですが。


さて『どうする家康』はどうなのか?
どうも評判は今ひとつに感じます。

視聴率も二桁をギリギリ保っているような状況で、
今の時代に悪いとまではいえなくても、「良い」ともいえないでしょう。

古沢さんの身上は、一話完結の中で見せるトリッキーな展開にあるように思います。
特に「待ちぼうけ」などはその典型。
冒頭から何が起こっているのがさっぱり分からないけど、
テンポの良い流れと、ユニークで印象的なシーンで視聴者を惹き付け、
やがて全体像が見えてきた時の驚き、見事でした。


しかし、大河ドラマではどうか。
やはり1年かけて継続していく物語だし、
歴史物なので、大枠でいえば先のストーリーは分かっています。

もちろん、その上で面白く作っていくのが腕の見せどころでしょう。
ですが、どちらかといえば向かない分野のようにも思えます。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年4月19日 (水)

【相棒】「名探偵登場」「名探偵再登場」亀山・神戸期に跨る傑作姉妹編 マーロウ矢木登場/元ネタの映画版についても

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「名探偵登場」相棒 season5 第10話 2006年12月13日放送  初代相棒亀山薫期


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「名探偵再登場」相棒 season10 第11話 2012年1月11日放送  2代目相棒 神戸尊期


『相棒』22年の歴史の中でも、コミカル色の強い傑作といわれる回で、しかも姉妹編です。
1作目が初代亀山薫(寺脇康文)時代、2作目が2代目神戸尊(及川光博)時代に亘っていて、
どちらも面白いというのもいい。

メインゲストは高橋克実さん。
マーロウ矢木」を自称する“チャンドラー探偵社”の私立探偵・矢木明を演じます。
名探偵というよりは“迷探偵”

「マーロウ」とは、ハードボイルド小説の巨匠レイモンド・チャンドラーが創造した
私立探偵フィリップ・マーロウのこと。
矢木は推理小説・ハードボイルド小説のマニアで、フィリップ・マーロウにあこがれており、
「チャンドラー探偵社のマーロウ矢木」などと名乗っているわけです。

マーロウが登場するチャンドラーの代表作『長いお別れ』と、
作中に登場する名セリフ「ギムレット」には早すぎる」、
カクテルのギムレットについて書いた記事は、当ブログの屈指の人気記事です。
「ギムレットには早すぎる」はマーロウのセリフではない/ギムレット超入門と『長いお別れ』

「再登場」では、カクテルのギムレットならぬ「ムギレット(麦レット)」もネタとして登場します。
※この2本は2023年4月20日(木)と21日(金)に二日連続でテレビ朝日で再放送されました。


タイトルの元ネタは外国映画
ところで、この2本のサブタイトルですが、元ネタはいずれも1970年代制作のアメリカ映画の邦題です。

『名探偵登場』(原題:Murder by Death) 1976年
『名探偵再登場』(原題:The Cheap Detective)1978年
脚本:ニール・サイモン 監督:ロバート・ムーア

両作とも私立探偵を主役とするパロディ作品。
邦題だと、2作目は1作目の続編みたいですが、そうではありません。
脚本・監督も同一で、極めて似たテイストではありますが。

1作目は豪華キャスト勢揃いの、名探偵大挙登場映画。
古典ミステリ小説や映画の名探偵のパロディキャラたちが競演します。

2作目は、1作目の名探偵の1人を演じたピーター・フォークの単独主演。
フォークはいわずと知れた『刑事コロンボ』の主演俳優。
フォークが1作目・2作目で演じた役は同一人物ではないですが、よく似たハードボイルドタイプ
つまり、コロンボとはまったく逆ともいえるキャラを演じています。
モデルとなっているのはマーロウではなく、こちらもハードボイルドの有名キャラクターサム・スペード

そういえば、『相棒』の1本目で、矢木はサム・スペードの名も、少しだけ出しています。
要約すると→「西日暮里ではマーロウ矢木、戸越銀座ではサムスペード矢木と呼ばれています


元の映画と『相棒』の2本のエピソード
タイトルが同じで、私立探偵を題材としたコメディである点は共通ですが、
ストーリーはあまり似ていません。

特に映画版第1作は名探偵総登場物なので、全然違う。
強いていえば、『相棒』の2本は、映画版第2作のパロディに近い、と言えなくもないですが、
それよりは本家マーロウシリーズのパロディと言った方がいいかも知れません。

1本目にはマーロウシリーズの『プレイバック』より、もうひとつの有名なセリフが出てきます。
男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。

しかし、なんといっても、高橋克実さん演じるマーロウ矢木のキャラクターが魅力。
杉下右京(水谷豊)や亀山、神戸とのやりとりも面白く、他のゲストキャラも良い味を出しています。
『相棒』の新作放送中にこの2本が再放送されたら、マーロウ矢木再登場への布石か!
などと思うところですが、先月最新シーズンが終わったばかりなので、とりあえずありません。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年3月24日 (金)

【相棒21】最終回終了 右京・亀山コンビの若さ、変わらぬ姿・声、キレのある動きには感嘆しかない

初代相棒・亀山薫(寺脇康文)の復帰で話題となった『相棒season21』。
3月8日と15日で最終回前後編スペシャルが放送され、シーズンが終了しました。

今回は番組初期の重要キャストであった小野田官房長(岸部一徳)の遺骨が盗まれるという衝撃的な展開で、
過去に描かれた官房長絡みのエピソードに関わる事件、
あるいは、知られざる官房長関係の事案があぶり出されるのか、と注目しましたが、
結果的には小野田の遺骨盗難は“たまたま”に近く、その点はちょっと肩透かしでした。

キャスト面では、二代目相棒 神戸尊(及川光博)と、元鑑識の米沢守(六角精児)の登場があり、
それほどの活躍はないものの、古くからのファンには嬉しい回ではありました。

そして、今シーズンの亀山の再登場自体が『相棒』の終焉へのカウントダウン開始のようなイメージもありましたが、
とりあえず、そのような不穏さはまったく感じさせない、最終回でした。


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さて、復活した初代相棒コンビを演じた二人
水谷豊 1952年生まれ 番組開始年(2000年)48歳 → 今年71歳
寺脇康文 1962年生まれ 番組開始年38歳 → 今年61歳

71歳と61歳のバディ、とても信じられないほどの若さを見せてくれました。

「いや、そんなことない、二人とも年取ったよ」
という人もいるでしょう。
当たり前です、開始から23年も経っているのだから。

時間の経過、現在の二人の実年齢を考えれば、驚異的だと言っているのです。


姿が若い
ドラマを観ていて、俳優が年取ったな、容貌が衰えたなと感じるのはどういう点か。
特に重病を抱えている人などは、痩せて、衰えた感を出してしまう場合もありますが、
どちらかといえば、太めになってイメージが変わってしまうことが多く思います。

相棒コンピはそうではない。
顔も引き締まっていますが、身体もシェイプされていて、結果動きにもキレがある。
亀山の退場が2008年ですから、それからだって15年経っていますが、変わらぬ姿で帰ってきてくれました。


声か若い
もう一つ、俳優が年取ったな、と感じるのは、やはりせりふ回しです。
活舌も悪くなりますが、それ以前に声がかすれ、聞き取り辛くなってしまうことが多い。
この点でも、二人は立派です。


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もう一人、今回登場した二代目相棒 神戸尊はどうか?
及川光博さん(1969年生まれ 初登場の2009年40歳 → 今年54歳)は、
若干太めになった気もしますが、こちらもイメージはほとんど変わっていません。


ともかく、亀山復帰で2シーズンやって『相棒』終了か、などと思ったのですが、
この調子ならが、もう少し続けてほしくなりました。
(あるいは、その後は亀山・神戸で新コンビというのも、まったくの絵空事ではないとさえ、感じたりして)


後は、半年2クール放送で、玉石混交になるのは仕方ありませんが、
少しでも多くの“名作回”を、期待します。

Old Fashioned Club 月野景史

2023年3月 3日 (金)

【相棒21】3/8・15最終回前後編に神戸(及川光博)、米沢(六角精児)が登場して亀山(寺脇康文)と対面/小野田官房長にも関わる話

初代相棒・亀山薫(寺脇康文)の復帰で話題となった『相棒season21』ですが、
いよいよ終盤を迎え、3月8日と15日が「最終回スペシャル前後編」ということになるようです。

次回予告では、レギュラーからは降板したものの警察組織内におり、『相棒』世界に籍を残す
二代目相棒 神戸尊(及川光博)と、元鑑識の米沢守(六角精児)の再登場が告知されるなど、
キャスト的にもスペシャルな内容になりそうです。

この二人は降板後もそれぞれ何度か登場しています。
しかし、亀山との関係でいうと、また格別なものがあります。


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亀山と神戸は『相棒』世界でまったくの初対面。
のみならず、寺脇さんと及川さんは他の作品も含めて初共演ではないかと思います。



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また米沢にとって亀山は、他の歴代相棒と比べても極めて親密な間柄でした。
亀山の退場時、米沢は命の恩人として、母親の形見のお守りを送ったほどの仲。

この二つの対面自体が、イベントでもあります。


更にストーリーも、初期の主要キャストであった小野田官房長(岸部一徳)に関わるテーマ。
これも楽しみですが、告知されている内容だと、小野田の遺骨が盗まれるという衝撃的なもので、
“楽しみ”とか言い難くなりますが。

まるでシリーズ総決算的な内容。
長年のファンとしても大いに楽しみではありますが、
もしかしたら、これで本当に終わってまうのではないかとの見方さえあります。
そもそも、亀山の復帰自体が、終焉への序曲ではないかとも思えますし。

まぁしかし、さすがにそれならば、事前告知があるだろうから、今回はないでしょう。
内容的にも面白くて盛り上がる、スペシャルな回になることを祈ります。


Old Fashioned Club 月野景史

2023年1月 1日 (日)

『相棒21』2023元日スペシャル「大金塊」は江戸川乱歩「少年探偵団」へのオマージュ?!

正月恒例の『相棒』元日スペシャル、シーズン21第11話「大金塊」の放送が終了しました。

今回は江戸川乱歩作の『少年探偵団』シリーズのオマージュ的な作品でしたが、
ちょっと中途半端な出来だったように思います。

サブタイトルの「大金塊」は『少年探偵団』シリーズの一本(第4作)の題名と同様です。
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こちらは小林少年率いる少年探偵団が、名探偵明智小五郎の助けを借りて悪と戦うお馴染みの内容ですが、
『大金塊』は敵役が「怪人二十面相」ではありません。
その意味ではシリーズ全作の中でも、異色作といえます。

ただ、『大金塊」はシリーズ4作目と、かなり初期の作品なので、
前3作の怪人二十面相編から離れ、そろそろ新機軸をという意図だったのかも知れません。

二十面相が出てこないので、マイナーといえばマイナーの作品なのですが、

「ししがゑぼしをかぶるときからすのあたまのうさぎは三十ねずみは六十いはとのおくをさぐるべし」
(獅子が烏帽子をかぶる時、カラスの頭のウサギは三十、ネズミは六十、岩戸の奥をさぐるべし)

この宝探しの暗号が魅力的で、印象に残る作品です。
子どもの頃、熱心に読んだシリーズなので、題材として取り上げられたことは嬉しいです。


しかし、この『大金塊』と今回の『相棒』の「大金塊」、タイトルは同じですが、内容はあまり関係ありません。
「少年探偵団」に絡めて「熟年探偵団」を登場させたりしましたが、
主筋は昨年の元日スペシャルで登場した悪徳政治家と右京との決着編でした。

ここがちょっと中途半端だったかも知れません。
少年探偵団のパロディやるなら、もちろん最後は『相棒』的にきっちりまとめるとしても、
全体には“お正月番外編”的にファンタジー寄りにしてしまった方が、よかったようにも思います。
別に『相棒』にそのようなものを求めているわけでもありませんが、やるとしたらばです。


それにしても亀山復帰の『相棒21』も早や後半戦。
これからどのようにまとめていくのか?

Old Fashioned Club 月野景史

2022年10月21日 (金)

【相棒21】亀山帰国の理由はまさかのサルウィン追放/特命復帰の橋渡しはかつての宿敵伊丹

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『相棒seazon21』第1話・2話前後編の放送が終了しました。
亀山薫(寺脇康文)は無事特命係に復帰、杉下右京(水谷豊)とのバディが復活しました。

亀山の復帰自体は予告されていたことですが、注目していたのは劇中での理由付けです。
フィクションなのだし、そもそも特命係自体が架空の部署であり、どうとでも理由付けは出来るのですが、
視聴者にとって納得できる展開か、また物語としての整合性は?
さてどのような理由を付けてくるか、気になっていました。

特に、特命への復帰以前に、亀山が人生を賭けて夫婦で渡ったサルウィンを離れる経緯を注視していました。


日本に帰国の理由
私は漠然と、亀山が一旦サルウィンを離れてまで、警視庁に復職して取り組まねばならない事案が発生するのかと思っていました。
ただ、それがどうような事案なのかというと、ちょっと難しいかなとも。

結果はまさかの、亀山夫妻へのサルウィンからの国外退去命令、つまり国外追放。
日本に戻ってこなければならなくなってしまったということでした。

シーズン7で描かれた、亀山夫婦がサルウィンに渡るまでの物語を考えれば残念な流れですが、
今回の処置は亀山にはいかんともし難いことで、亀山側に選択肢はありません。
とりあえず日本に帰ってくる以外に手はなく、理由としては明快でした。


では警察への復帰は?
これは実はさほど難しくはなく、
特命係には警察庁の甲斐元次長(石坂浩二)という後ろ盾がいるし、
かつては怨敵だった内村刑事部長(片桐竜次)も今や“正義”を重視する硬骨漢で、特命係の味方です。

ただ、甲斐元次長の登場も内村部長の変貌も亀山退職後のことなので、
ここは右京が主導して、どちらかを動かして・・・と想像していました。

さて、どの道筋を選ぶかと思いましたが、これもちょっと意外で、
長年のライバルにして宿敵ともいえる関係だった伊丹刑事(川原和久)による声掛け、橋渡しでした。

伊丹にそんな力があるのか? というのはまぁいいとして、
何が意外って、復帰までの流れに右京が全然絡んでない・・・。
まぁそれも右京らしい、あるいは『相棒』らしいか。


ともかくも復活した元祖『相棒』コンビ。
古くからのファンとしてやはり嬉しいですが、とはいえ、このコンピは過去最高齢。
制作サイドは、二人でのどのくらいのスパンでの活躍を考えて考えているのか。

Old Fashioned Club 月野景史

2022年8月 5日 (金)

【相棒】復帰決定の亀山薫(寺脇康文)の『相棒』史/一度退場した事情は?

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『相棒』に復帰が決まった亀山薫役の寺脇康文さん。
やはり『相棒』といえば本来、杉下右京(水谷豊)と亀山薫の二人が主役のドラマ。
原点回帰は嬉しいし、来たるシーズン21が楽しみですが・・・。

今更ながら、寺脇さんはなぜ一度降板したのか?
今回はそこにちょっとだけこだわってみます。
・・・復帰が決まった今、そんなこと蒸し返す意味があるのか、と言われそうですが、
私はよく言われる“不仲説”はちょっと違うのではと感じているので、そこを少しだけ書いておきたいと思います。


亀山の退場は2008年12月なので14年前、今となっては古い話です。
これまで、この件はネットでも随分色々と書かれてきました。
主に言われてきたのは、水谷さんと寺脇さんの不仲説。
制作現場で圧倒的権力・発言力を持つ水谷さんの意向で、降板になったという説です。
本当でしょうか?


『相棒』は右京と亀山、二人のドラマ
おそらく多くのファンがそう信じて疑っていなかったので、寺脇さんの降板発表は意外でした。

『相棒』のスタートは2000年、2時間ドラマの「土曜ワイド劇場」の1本としてでした。
警視庁捜査一課の刑事だった亀山は冒頭で失態をやらかし、特命係に左遷されてしまいます。
そこには得体の知れない変人の上司がいて・・・、それが右京と亀山の出会いでした。

その後、更に二時間サスペンスとして2回の放送を経て、2002年に連続ドラマとしてスタートした『相棒』ですが、
当初の視聴率は13%台と、この時代において“高視聴率ドラマ”といえるほとではありませんでした。

それでもシーズン2から、当時でも他にほとんどなかった2クール放送になり、
数字も少しずつアップ、シーズン5-6頃には16%台を獲るようになっていました。
刺々しかった右京と亀山も、紆余曲折を経ながら信頼を深め、名コンビ、バディとなっていきました。


衝撃的だった亀山退場
そして2008年春、シーズン6の終了後に公開された劇場版映画第一作が大ヒット。
右京と亀山はスクリーンの大舞台で躍動しました。
いよいよ国民的ドラマに・・・、というタイミングで、シーズン7のスタート前に亀山の退場が発表されました。
しかもシーズン7を務め切ってではなく、途中でやめるというのだから、まさに“まさか”の出来事で、当時は衝撃でした。

寺脇さんの方に、例えばスケジュールの問題で、どうしても降板せねばならない事情があったとも思えないし、
よほど内部で深刻な問題があったのか、と勘繰られてしまいました。
まして、降板後の寺脇さんが一切『相棒』に関わらなかったので、
余計に水谷さなとの不仲、対立説、水谷さんに降ろされた説が信ぴょう性を帯びてしまいました。


しかし、私は少し違った見方をしています。
水谷さんがそのような強権的なタイプではないように感じるというのもありますが(根拠なしの印象ですが)
ネットにあった一部の情報に加えて、寺脇さんの『相棒』DVDの特典映像でのコメントからの印象です。


亀山は理想の男 → いつまでも続けられない
寺脇さんはスタート当初のDVDでは、亀山を「理想の男」と言っていました。
それが亀山最終シーズンのDVDに収録の、亀山美和子役の鈴木砂羽さんとの対談では、
「いつまでも亀山をやってられない」という主旨の発言をしています。

これは一般論として、同じ役をあまり長く続けてたくない、という意味にもとれます。
でも、普通に考えて、映画も大ヒットし、遂に国民的人気ドラマに! という、この時期にやめるのか?
もう少し、続けてからでしょう。

実は、上に書いた「ネットにあった一部の情報」とは、
シーズン5~6くらいから、寺脇さんサイドと制作サイドで路線をめぐる対立があり、
それが降板に繋がったというものでした。

では、「路線をめぐる対立」とは何か?
ここからは完全な推測ですが、
右京と亀山の関係は、わかり易くいえばホームズとワトソン、またはボケ(亀山)とツッコミ(右京)といえなくもない。
亀山が見当はずれの(ある意味常識的な)見解を示し、右京がそれを否定して怜悧な推理を披露する、そういう関係でした。
ごく短絡的な見方をすれば、役割としては亀山は三枚目です。

この関係の変化、亀山のキャラの軌道修正を求めたが、受け入れなった、そんなところではないかと思っています。
そうすると、「いつまでも亀山をやってられない」との発言も納得できたりします。
「今のままの亀山では続けならない」ということではないでしょうか。

実際、シーズン5-6あたりになると、寺関さんサイドの意向に配慮したのか、
右京と亀山が“Wホームズ”みたいに同等の推理を展開する回もありました。
シーズン5第3話「犯人はスズキ」などは、そうだったかと思います。
でも、いつもそうというわけにはいかない。コンビとしての妙が失われてしまいます。
それで、降板と相成ったということではと。


ともかく、過ぎた古い話です。
14年間の時を越えて、水谷さんと寺脇さんがどのような“元祖相棒コンビ”で魅せてくれるのか。
期待しています。

Old Fashioned Club 月野景史

2022年7月27日 (水)

【相棒seazon21】亀山薫(寺脇康文)復帰でクランクイン

テレビ朝日の人気警察ドラマ『相棒』
4代目相棒、冠城亘(反町隆史)が3月まで放送のシーズン20をもって退場し、
後任が注目されていましたが、
まさかの初代相棒亀山薫(寺脇康文)の復帰が6月に発表されました。


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そして、10月スタートのシーズン21が初代コンビ復活で無事クランクインしたとのこと、
ファンには嬉しいニュースです。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202207230000536.html


亀山は退場後も時折再登場していた2代目相棒の神戸尊(及川光博)と違い、
2008年の退場後、『相棒』とは完全に無縁でした。
ネット上では水谷豊さんとの確執の噂もあっただけに、復帰は意外でしたが、
私は高い可能性ではないにしても、予想はしていました。

それは、『相棒』終焉の序曲としてです。
水谷豊さんも今年70歳。
驚異的な若さを保っていますが、やはり年齢も感じます。
というよりも、まだ大丈夫なうちに、終了するという判断をしてもおかしくない、
むしろそれが懸命なのでは、とも思っていたのです。

そうなると、初代相棒が復帰して最後を飾るのが理想的か。
ただ、私が予想したのは、2代目の神戸が復帰して1シーズン、
そして最後のシーズンを亀山復帰で迎えるというものでしたが、

もしくは、亀山の復帰が難しければ、神戸で最後を迎える。
原点である亀山の復帰がないなら、最後まで冠城でいいと思うかも知れませんが、
実は視聴率的に全盛期だったのは神戸時代で、歴代トップは神戸の事実上の2期目だったシーズン9なのです。
それに神戸の退場自体、ちょっと中途半端で、再登場前提のようにも感じていたので。

しかし、まさかの亀山復帰。
なんといっても、『相棒』は本来、杉下右京と亀山薫のドラマ。
終焉に向かってなのか、そんなことはまったくないのかは分りませんが、楽しみです。

追記 亀山の配偶者、美和子(鈴木砂羽)の復帰も公表されました。
当然とはいえ、嬉しいニュースです。

Old Fashioned Club 月野景史


※以下、日刊スポーツサイトより引用
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202207230000536.html
☆☆☆
「相棒」復活 水谷豊&寺脇康文「14年もたった感じがしない」 右京と薫の再会シーンから撮影
[2022年7月25日6時31分]

主演の水谷豊(70)が約14年ぶりに寺脇康文(60)とタッグを組むテレビ朝日系ドラマ「相棒 season21」(10月スタート、水曜午後9時)がこのほど、クランクインした。初代相棒の亀山薫(寺脇)が、今度は“5代目相棒”として、杉下右京(水谷)と再び事件を追う。

14年ぶりの再会だったが、寺脇の変わらない“亀山薫ぶり”に、水谷は思わず「おー、亀山くん!」。そう言いながら笑顔で肩を抱き寄せた。その場にいる全員から寺脇に対して「おかえりなさい」の温かい拍手が送られる中、撮影はスタート。右京と薫が再会するという重要なシーンからの始動だった。

“あうんの呼吸”で順調に進んでいく撮影に、寺脇が「14年もたった感じがしないですね」と感想をもらすと、水谷も「ほんとに。亀山くんは2、3カ月サルウィン(劇中で亀山が移住した架空の国家)に行っていたって感じ(笑い)」とうなずいた。真剣な撮影の後でカットがかかると、互いに顔を見合わせ笑い合うなど、和やかな雰囲気の中で撮影は続いた。

「相棒」で、右京と薫の出会いはプレシーズン第1弾(00年6月3日放送)だった。仕事で失態を犯し、“人材の墓場”とやゆされる特命係に左遷された薫を待っていたのが右京だった。02年10月からシリーズ化(連ドラ化)となり、足掛け9年、124話にわたって相棒の関係だった。

薫の最後の出演は08年12月17日放送のシーズン7第9話。友人の遺志を継ぎ、不正がまん延する南アジアの小国サルウィンに移住した。この時に右京は「どうか、気をつけて行ってください。以上です」とはなむけの言葉を贈っていた。

約14年ぶりにタッグを組むことが決まった際、水谷は「過去に戻るのではなく、新たな未来にまた2人で向かうための再会を、右京は淡々と待っていたに違いない」とコメントしている。
★★★

2022年3月25日 (金)

【相棒20】冠城亘(反町隆史)退場/安定感のあった最多回登場の4代目相棒

『相棒seazon20』最終回の放送が終了しました。
4代目相棒 冠城亘(反町隆史)の退場・卒業回でした。

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冠城は杉下右京(水谷豊)とコンピを組んだ過去3人の“相棒”たちと比べて最多回数を務めた男となりました。
初代の亀山薫(寺脇康文)を上回っているとは、ちょっと意外な感じがします。

亀山は土曜ワイド劇場時代の3回の後、
連続ドラマのシーズン1からシーズン7の前半まで。
つまりほぼ6シーズン半務めました。(ただしシーズン1は2以降の半分の1クール放送)

次の神戸尊(及川光博)と甲斐亨(成宮寛貴)は共にあまり長くなく、
神戸はちょっと変則でしたが、実質的にほぼ3シーズンずつ。

対して冠城はシーズン14から20まで丸々7シーズン務めたのです。
“期間”でいうと亀山の方が長いのですが、回数では冠城がトップとなりました。

さて、今回はあの衝撃的だったシーズン13「ダークナイト」以来の相棒退場でした。
あの時書いたブログには凄い数のアクセスがありました。

今回の冠城は最終エピソードで色々絡んてきた公安調査庁への異動、
また、冠城に少し遅れてレギュラー入り青木年男(浅利陽介)はライバル的な内閣情報調査室へ移動、
ということで話が続きそうな感じで、退場した感は薄いです。

反町さんについては降板というアナウンスがあったので、冠城退場は間違いないですが、
神戸のように『相棒』世界に籍を残したまま、時折再登場するイメージでしょうか。


杉下右京と冠城亘
安定感のあるバディでした

1シーズン目こそ、冠城が押し掛け相棒だったこと、
法務省からの出向で。身分が警察官ではなかったこともあり、
色々軋轢やスムーズに行かない点もありましたが、
2シーズン目からは安定に向かいました。

反町さんの『相棒』登場以前の俳優としての実績が高いからかとも思いますが、
一人前同士の頼りになる相棒といった感じでした。

その分、右京と亀山、右京と神戸に比べると、
コンビとしてのやりとりの面白さは若干欠けたかとも感じます。

さて、次の相棒は誰?
というよりも、ドラマ『相棒』はどうなっていくのか。
注視されます。

Old Fashioned Club 月野景史

2022年2月23日 (水)

【相棒】season5第2話「スウィートホーム」/亀山・美和子夫妻活躍(?)のホラーコメディテイストの佳作

『相棒』『科捜研の女』など平日午後のテレビ朝日は警察系ドラマの再放送アワー。
特に上記2番組については各回とも何度もリピートされていますが、
やはり古めの回はリピート率が下がります。

2月22日は結構久々だと思うのですが、
シーズン5第2話「スウィートホーム」の再放送でした。
初代相棒亀山薫(寺脇康文)時代の傑作のひとつだと思います。


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スウィートホーム 本放送 2006年10月18日



『スウィートホーム』というと、1989年公開の同名の和製ホラー映画がありましたが、
『相棒』の「スウィートホーム」もホラーテイスト。

傑作といっても、話全体がもの凄くよく出来ているとも思わず、佳作くらいの感じですが、
特に前半がホラーコメディ風の異色の展開で面白いのです。
亀山と、スタート時からの恋人で、このシーズンから夫婦として登場した美和子のコンビが活躍する・・・
というよりは、ややこしい事に巻き込まれて翻弄され、とんでもない目に合うお話。


ストーリー
亀山が美和子に相談なく新居を購入。
亀山に買える筈もない豪邸で、訝しがる周囲。

実はいわゆる事故物件・わけあり物件で、殺人事件があった家。
しかも殺された家主は有名な悪魔崇拝のオカルト研究家で、
屋敷に侵入してきた男に、コレクションの処刑道具の斧で応戦して相打ちになり、両名とも死亡。
空き家となり、心霊スポットとして知られるようにまでなってしまった、いわば“幽霊屋敷”

亀山は豪邸を格安で購入出来てノリノリですが、
美和子は当然ながら腰が引け気味。
そんな状態で始まった新生活だが、本当に幽霊(ゴースト)のようなのが出現して・・・。

と、こんなようなお話。


亀山夫妻の面白さに加えて、
懐かしい、亀山と、“トリオ・ザ・捜一” とのやりとりも秀逸。
亀山期『相棒』の名物でしたが、最初期は対立ムードの刺々しさが勝っていました。
この頃になるとだいぶ緩くなり、一番いい感じです。

殺されたオカルト研究家 天城誠を演じたのは星野晃さんという俳優ですが、
わたしは「天城」という役名からも、この役のイメージモデルは『仮面ライダー』の死神博士なとで知られる
俳優の天本英世さんではないかと思っています。
天本さんは本作の3年前の2003年に亡くなっています。


ゲストヒロインは三平夫人
昨年末で『笑点』を降板して少々話題になった林家三平さんの夫人である
国分佐智子さんがゲストヒロイン格で出演しています。

D
初代特命コンビに挟まれた国分さん


Old Fashioned Club 月野景史

 

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