04.ラファエロ・サンツィオ

2015年4月 7日 (火)

【美術】ラファエロ・サンツィオ『一角獣を抱く貴婦人』 4/4『美の巨人たち~』より/曰く因縁ある絵

2015年4月4日放送のテレビ年京系『KIRIN~美の巨人たち~』テーマ作品「今週の1枚」は、
ラファエロ・サンツィオ『一角獣を抱く貴婦人』(1505年頃)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/150404/index.html

Photo_3
今回から番組もリニューアル。
ナレーションも小林薫さんに蒼井優さんが加わって二人体制になりました。
オープニングも変わりましたね。

テーマ作品も西洋美術の大立者ラファエロ・サンツィオ。
・・・なのですが、選ばれた作品はちょっと微妙でした。
この絵は、2009年~2010に開催されたボルゲーゼ美術館展の看板作品として来日しました。


ラファエロ・サンツィオ
(Raffaello Sanzio da Urbino1483年4月6日 - 1520年4月6日)

美の貴公子ラファエロ。
彼がルネサンスの聖都フィレンツェにやってきたのは1504年頃、21歳の時。
それかまもない22歳頃に描かれたとされる作品です。

絵画にさほど詳しくない人でも、有名に絵に似ていると思うでしょう。
そう、あのレオダルド・ダヴィンチ『モナ・リザ』(ラ・ジョコンダ)
ラファエロは『モナ・リザ』を見て、スフマートなどの技法を会得し、
『一角獣を抱く貴婦人』描いたとされています。

といっても、ダヴィンチからの影響について、はっきり記録に残ってはいません。
ダヴィンチはこの絵を手元において加筆を続け、最後はフランスで亡くなります。
だから『モナ・リザ』はイタリアではなく、フランスのルーブル美術館にあるのです。
つまり、『モナ・リザ』はダヴィンチの生前に公開されることはなかったのです。
ラファエロはダヴィンチの工房を訪れ、『モナ・リザ』を目にしたとされています。

番組ではテレビのオークション番組をテーマにしたミニドラマ風演出で、
『モナ・リザ』と今日の1枚を対比させ、その魅力にせまりました。


しかしながら、番組でもふれられてはいましたが、
『一角獣を抱く貴婦人』にはもうひとつの曰く因縁があるのです。

20世紀の初頭まで、この絵は作者不詳の『アレクサンドリアの聖カタリナ』とされてきました。
女性の手元には一角獣ではなく、壊れた車輪が描かれていたのです。

Photo_4

これは当時のこの絵を撮影した白黒写真です。

なぜ車輪を! と思うでしょうが、アレクサンドリアのカタリナはよく絵画の題材にもなる、
有名な聖女・殉教者で、車輪は彼女のアトリビュート(持物)なのです。

ところが、どうもこの絵は上から塗り足されているのではとの疑いが浮上し、
修復したところ、一角獣が現れ、技法等からラファエロの作であることが判明したという次第です。

しかし、ラファエロは生前からルネサンス絵画の最高峰に登り詰め、
死後は長く西洋絵画の規範とされた画家です。
そのラファエロの絵に誰が上から塗り足し、別の絵にしてしまったというのか?
不可思議な話ではあります。

Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月12日 (日)

【美術】5/12『日曜美術館』「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ」/大画家の生涯を俯瞰

このブログでも予告編を書きましたが、
今日5月12日放送のNHK Eテレ『日曜美術館』のテーマは、
「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ」でした。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/0512/index.html

Madonna_dell_granduca
ラファエロ・サンツィオ『大公の聖母』(1505-6年)

東京上野の国立西洋美術館で6月2日まで「ラファエロ | Raffaello 」展が開催中、
『大公の聖母』は同展に来日・展示されています。

そのラファエロを知るにあたって、今回の番組は大変有意義な入門編でした。
この早世の大画家の生涯と、その時代・周囲を俯瞰できるような構成だったと思います。
次の日曜日、5月19日の夜には再放送されのすので、
見逃した方は是非チェックされるよう、お薦めします。

ゲストは漫画家のヤマザキマリさんでした。
映画もヒットした、あの『テルマエ・ロマエ』の作者。
さすがイタリアのこと、ラファエロについても詳しかったですね。

「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月11日 (土)

【美術】ラファエロ『大公の聖母』 5/11『美の巨人たち』より/漆黒の背景に隠された真実を探る

既に先日、このブログでも予告編を書きましたが、
5月11日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』
テーマ作品「今週の一枚」は、ラファエロ・サンツィオ 『大公の聖母』(1505-6年)でした。
(番組では「サンツォ」と表記していました。)
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130511/index.html


Madonna_dell_granduca

東京上野の国立西洋美術館で6月2日まで開催中の
「ラファエロ | Raffaello 」展に来日中の名画が遅まきながら登場しました。

今回の放送はいつものようなサブストーリーはほとんどなく、
直球勝負でラファエロとその時代、作品達、そして『大公の聖母』を突き詰めました。
全部をここに書き写しても仕方ないので、このブログでは『大公の聖母』について記します。


『大公の聖母』(1505-6年)
「聖母子の画家」ラファエロの傑作。
漆黒の背景から浮かび上がる聖母マリアと幼子イエス・キリスト。
イエスの手は、母の胸と肩に置かれ、聖母もその温もりを感じているかのような優しい母の顔。
神聖なる聖母子の姿と、家庭的な情愛に満ちた母と子の姿、
ラファエロは見事にこの二つを両立させています。
人間再生の時代、ルネサンスの申し子ラファエロの真骨頂です。

しかし、この一枚は謎に満ちた絵でもあるのです。
この絵は描かれた時から300年近く美術史上から消えていました。
18世紀の末、トスカーナの大公フェルディナンド3世が発見しました。
大公は1799年のナポレオン侵攻によってトスカーナを離れますが、
この絵を肌身離さず持ち歩きました。
それが、『大公の聖母』という名前の由来です。
この、フェルディナンド3世が発見した時点で、背景は黒く塗られていたといいます。

ラファエロの多くの聖母子画で、背景が黒く塗られたものは他に残っていません。
これは、聖母子の神聖さを表現する為の表現と考えられてきました。

しかし、近年の調査で、黒く塗られたのはラファエロの死後、遥かに時を経て、
18世紀頃だと判明したのです。
X線調査により、元々背景には建物の柱、丘のようなもの、窓などが描かれていたのです。
いったいなぜ、描かれていた背景を塗りつぶしてしまったのでしょう。

ところが、調査によると、背景の色についてはベージュ系のものしか見つかりなかったそうです。
柱、丘、窓等描かれているのに、色はベージュだけ?
これは不自然ですね。
そこからの推測ですが、そもそもこの絵は未完成だったのではないか、考えられます。

実は、この『大公の聖母』にはデッサンが残されています。
しかし、聖母とイエスの構図は同じなのですが、背景はX線で判明したものと違うし、
デッサンからは円形の作品にしようとしていたこともうかがえます。

Raffaello_bino130511
デッサン(左)とX線写真  ※番組公式サイトより


更にここからの推測ですが、
ラファエロはフィレンツェでこの絵の構想に迷い悩んでいるうちにローマ教皇庁に招かれ、
戻ってきたら完成するつもりでローマに向かったのではないかと。
そして、ラファエロはローマで偉大な名声を得ますが、急病で亡くなり、
『大公の聖母』は未完のまま残されたではないかと。

なかなか興味深い話になってきましたが、番組で解題したのはここまでです。
その後、この絵の背景をいつ誰がどういう理由で塗りつぶしたのか?
この点はについての推理ありませんでした。
それは我々視聴者に委ねられたのでしょうか。


◇◇◇
番組ではラファエロの故郷ウルビーノに残る彼の生家と、
子どもの頃、壁に直接描いた聖母子画が紹介されていました。
しかし、ラファエロは1483年生まれ、織田信長より50歳早い生まれです。
見たところ、遺跡ではなく、生家がごくフツーに残っている感じでした。
これも凄いです。


「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/ 


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月10日 (金)

【美術】雑誌『Pen』5/15号「ルネサンスとは何か。Ⅱ ダ・ヴィンチ/ミケランジェロ/ラファエロ 3大巨匠を徹底解剖」

アート関係の特集もしばしば掲載される雑誌『Pen』
月2回(1日と15日)発行の雑誌ですが、
最新5月1日発売の「5/15号」の特集は、
「ダ・ヴィンチ/ミケランジェロ/ラファエロ3大巨匠を徹底解剖。 ルネサンスとは何か。Ⅱ」です。
http://www.pen-online.jp/pen/latest

Pen20130515_001
「Ⅱ」とあるからには「Ⅰ」もあったわけで、
2012年の新年合併号が「ルネサンスとは何か。」だったのですが、
今回は三大巨匠に絞っての第二弾です。

レオナルド・ダ・ヴィンチ (1452年4月15日-1519年5月2日 67歳没)
ミケランジェロ・ブオナローティ(1475年3月6日-1564年2月18日 88歳没)
ラファエロ・サンツィオ(1483年4月6日-1520年4月6日 37歳没)

三巨匠については、このブログでも上野の国立西洋美術館で開催中の
「ラファエロ展」の話題を中心に、連日取り上げています。

更に、すぐ近くの東京都美術館では「ダ・ヴィンチ展」が始まりました。
そして、9月にはやはり国立西洋美術館で「ミケランジェロ展」も開催されるのです。


『Pen』最新号の内容を、アマゾンから引用して紹介します。
☆☆☆
【特集】ダ・ヴィンチ/ミケランジェロ/ラファエロ 3大巨匠を徹底解剖。 ルネサンスとは何か。2
14世紀イタリアに興ったルネサンス。
あらゆる価値観が劇的に刷新される中、美術史にその名を刻む、3人の天才が現れた。
深遠なる思索と驚異的な絵画を残し、いまだ謎を秘める“万能人"、ダ・ヴィンチ。
『ダヴィデ』やシスティーナ礼拝堂のフレスコ画で“神のごとき"と謳われた、ミケランジェロ。
2人に続くラファエロは、彼らから早々と学び、37歳で夭折するも、崇高な“美のカノン"に到達する。
15世紀後期から16世紀にかけて、同時代を生きた3人の革新性は、後世の芸術家たちの道を照らし、燦然と輝く。
盛期ルネサンスの頂点を極め、いまなお世界中の人々に畏敬の念を抱かせる、3大巨匠の偉業を徹底解剖する。
★★★

それぞれの偉業と合わせて、
三者の関係も俯瞰できる貴重な資料、
展覧会鑑賞や関連テレビ番組視聴にあたっても、良い参考書だと思います。

表紙に使われた作品を説明しておきます。
いずれも、それぞれの代表作の一部をクローズアップしてますね。

Pen20130515_002

右 レオナルドの『最後の晩餐』より。イエス・キリストのアップ。
中 ミケランジェロの彫刻『ダヴィデ像』より。上半身。
左 ラファエロの『サン・シストの聖母(システィーナの聖母)』より。上部。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月 9日 (木)

【美術】5月12日放送予定『日曜美術館』は「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ」

今週日曜日、5月12日放送予定のNHK Eテレ『日曜美術館』のテーマは、
「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ」です。
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2013/0512/index.html


Raffaello_ten_000

その前日、5月11放送のテレビ東京系『美の巨人たち』テーマ作品は、
ラファエロ『大公の聖母』。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/511-7a23.html


東京上野の国立西洋美術館で6月2日まで「ラファエロ | Raffaello 」展が開催中、
そして、『大公の聖母』は同展に来日・展示されています。
http://raffaello2013.com/
Raffaello_ten_001

会期も残り一ヶ月を切ったこの時期、
土日二日連続の“ラファエロ・ウィークエンド”となるようです。


番組のサブタイトルは「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ」。
このブログでも、ラファエロと共にルネサンス芸術の三大巨匠と称される、
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの比較をメインに
ラファエロについて書きました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-c739.html
今回の番組もそのアプローチを採るようです。


以下、番組公式サイトより引用

☆☆☆
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロを越えろ ルネサンスの天才ラファエロ
15世紀から16世紀にかけて、わずか37年という短い人生でありながら、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとともに、「ルネサンスの三巨匠」とたたえられる芸術を作り上げた天才画家がいた。画家の名は、ラファエロ・サンツィオ(1483-1520年)。作品の貴重さゆえ、展覧会はこれまでヨーロッパ内でしか開かれてこなかったが、この春、日本に傑作の数々が来日した。ラファエロの神髄は聖母子像。従来の聖母子像とは異なり、親しみやすく理想の女性美をたたえた表現は画期的で、フィレンツェで瞬く間に人気を博した。しかし、ラファエロの生きたルネサンスの時代には、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロら巨匠らがラファエロより早く名声を博していた。さらにラファエロは、37歳で早世したと思えないほど、多くの作品を残し、建築や都市計画まで関わっていた。ラファエロは巨匠たちの中でどのようにして独自の画業を切り開いたのか。幅広く膨大な量の仕事をどうやって成功に導いたのか。天才画家ラファエロの創作の源に迫る。

出演 ヤマザキマリさん(漫画家)
★★★

タイトルと紹介文を読むと、ラファエロは既に名声を得ていたダ・ヴィンチや
ミケランジェロを目標に、追い付き・追い越せと頑張っていたように思えます。
しかし、ラファエロの経歴を見ると、もちろん先輩達を強く意識し、
勉強していたことは間違いないのですが、
こと周囲の評価という点では、少なくとも並ぶところまでは、
瞬時に到達したような印象があります。

いずれにしろ、前日の『美の巨人たち』では来日中の絵画作品『大公の聖母』を解題、
対して『日曜美術館』では、周囲の芸術家をも含めたルネサンスという時代にこだわり、
そこからラファエロを浮き彫りにする趣向のようです。

ゲストは漫画家のヤマザキマリさん。
『テルマエ・ロマエ』の作者ですね。
三大巨匠が活躍したローマの専門家…、
といっても、『テルマエ・ロマエ』のテーマは古代ローマですが、
ルネサンス期のローマをどう語るかも楽しみです。


「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月 8日 (水)

【美術】5月11日放送予定『美の巨人たち』はラファエロ『大公の聖母』/来日中の名画の謎にせまる。

今週は、このブログも“ラファエロ・ウィーク”でいきます。

テレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』
今週土曜、5月11日放送予定のテーマ作品「今週の一枚」は、
ラファエロ・サンツィオ 『大公の聖母』 。

東京上野の国立西洋美術館で6月2日まで開催中の
「ラファエロ | Raffaello 」展に来日中の名画が遅まきながら登場します。
※放送は終了しました。感想はこちらに記しました。


Raffaello_binokyojin_001
※番組公式サイトより引用

翌5月12日(日)のNHK Eテレ『日曜美術館』もラファエロ特集、
はからずも…もしかしたらはかったのかも知れませんが、
二日連続の“ラファエロ・ウィークエンド”となりました。


まずは『美の巨人たち』。
予告編から引用します。

☆☆☆
5月11日はルネサンスシリーズ後編。ラファエロの「大公の聖母」。
ルネサンス最後の画家と呼ばれるラファエロの最も有名な一枚。
黒一色の背景が、聖母マリアとイエスの姿に神秘性を持たせています。
ところがその黒の下に背景が見つかったのです。
背景は塗りつぶされていた。いつ、誰によって・・・。
聖母を巡る新たな謎に迫る。
★★★

あれ、テーマをそこに絞りましたか!

この絵は背景がまっ黒ですよね。
これはラファエロ作品としては、他になくはないのですが、珍しいのです。

近年の研究では、この背景は後年になって
黒く塗りつぶされた可能性が指摘されています。
もし、ラファエロの没後、後世の誰かによってだとしたら、
やはり残念に感じますよね。
せっかく来日したラファエロの名画が…。

もっとも、そう言っていては研究は進みませんし、
この件については、展覧会場でも言及されています。
番組としてどんな解釈をするか、注目です。


ただ、この予告編、
「ルネサンス最後の画家」?
「ラファエロの最も有名な一枚」??
ちょっとどうなのかと思ってしまいますが。


「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月 7日 (火)

【美術】ラファエロ超入門/日本初の本格展開催中、レオナルドとミケランジェロとの比較から探るルネサンス最大の画家

ルネサンス美術の巨匠、ラファエロ・サンツィオ。
東京上野の国立西洋美術館では3月2日から6月2日まで、
日本初の本格回顧展となる「ラファエロ | Raffaello 」展が開催中です。

Madonna_dell_granduca
ラファエロ展来日中の『大公の聖母』(1505-6年)

そして、今週土曜5月11日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』、
翌5月12日(日)のNHK Eテレ『日曜美術館』と、二日連続でラファエロ特集です。
会期も残り一ヶ月を切ったこの時期、やや遅まきながらの「ラファエロウィークエンド」となりますね。

ラファエロについてはWikipediaの項目にも長大な記述がありますが、
英語版を直訳したものなのか、なんだかさっぱり解りませんね。
ごく簡潔な概要が知りたいのに…。
というわけで、こちらも遅まきながらですが、このブログならではのラファエロ超概略・入門編です。


ラファエロ・サンツィオ
(Raffaello Sanzio 1483年4月6日 - 1520年4月6日)

Wikipedia日本語版では「サンティ(Santi)」となっていますが、
英語版、イタリア語版、フランス語版とも「Sanzio」です。

Raffaello_sanzio_da_urbino
『自画像』(1504-6年) ※来日中


ルネサンス三大芸術家
さて、ラファエロが紹介される時、
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並び、
ルネサンスの三大巨匠と形容されることが多いですね。
ルネサンスについては、このブログで超入門を書いてますので、よろしければ参照を。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-2628.html

おそらく、日本での知名度ではラファエロは他の二人に劣るでしょう。
ですので、この二人と比較するとラファエロの概観が浮かび上がり、解り易くなると思います。
まずは三人の生きた年代を比較してみましょう。

レオナルド・ダ・ヴィンチ (1452年4月15日-1519年5月2日 67歳没)
ミケランジェロ・ブオナローティ(1475年3月6日-1564年2月18日 88歳没)
ラファエロ・サンツィオ(1483年4月6日-1520年4月6日 37歳没)


一番年長はレオナルドで、ミケランジェロはその23歳下、ラファエロは更にその8歳下です。
レオナルドが少し離れて上で、ミケランジェロとラファエロは比較的近いですね。
しかし没年では、37歳で急病により早世したラファエロは
67歳と当時としてはまずまず長命だったレオナルドと、僅か1年違いで亡くなっています。
88歳と長寿だったミケランジェロが亡くなったのは、ラファエロ没の44年後です。

この三人はごく大雑把にいえば、同時代に同じ地域で活躍したといえます。
三人とも今でいうイタリアの生まれ。
ルネサンスの聖地フィレンツェで修行して名を挙げ、
教皇庁のあるローマに招かれ活躍しました。

実はレオナルドのキャリアは結構複雑で、他にも重要な地名があり、亡くなったのはフランスなのですが、
ミケランジェロとラファエロは、だいたいその二ヶ所が活躍の場でした。
明確な記録はありませんが、三人それぞれ接点もあったといわれています。

上で述べたように、ラファエロは早世の画家でした。
ルネサンスの時代、彼は短い一生をどのように生き、どう評価されたのでしょう?


ルネサンス最大の“画家”
私は、ラファエロはルネサンス最大の画家といっていいのではないかと思っています。
しかし、そこまで言い切っているのは、聞いた記憶はありません。
他の二人より上だと断定できるのか?

まず第一の根拠は、残っている“絵画作品”の量が断然多いのです…、
というよりは、他の二人が極端に少ないのですが。

そして、ラファエロは短い生涯にも関わらず、生前からローマ教皇庁の絶大なる信頼の下、
画家として圧倒的な高評価を受け、死後、その絵は長く西洋絵画の規範(canon=カノン)となりました。

では、他の二人はどうなのか?

『モナ・リザ』『最後の晩餐』など、絵画でも超有名作を残したレオナルド。
しかし、13歳頃に工房に弟子入りし、67歳で亡くなるまで制作を続けたにも関わらず、
レオナルド作と認定される絵画完成作品は、僅か10数点しか残っていません。
多くが紛失したとも考えられてもいるわけでもありません。
実際、遅筆で寡作の人だったのです。
一方、「万能の天才」と呼ばれ、画家、芸術家という枠だけで括れるの人ではなかったのですが。

彫刻『ダビデ像』で知られるミケランジェロは、
自ら、「自分は画家ではない、彫刻家だ。」と発言した記録が残っています。
絵画では、壮大な天井画や壁画が残っており、
それはまさに美術史上の大傑作、神のなせる業かと思いますが、
額縁に入れて飾り鑑賞するような、私達のイメージする西洋絵画はほとんど残ってないのです。

対してラファエロは、まさに“美”の画家。
短い人生で、壁画も大傑作がありますが、額装して鑑賞するような絵も多く残しました。
特に「聖母子像の画家」と呼ばれています。
今回来日している『大公の聖母』もそのうちのひとつですが、
聖母マリアと幼いイエス・キリストを描いた聖母子画の評価は圧倒的で、
欧州各国の大美術館の至宝となっています。

つまり、“最高の画家”となると異論もあるでしょうが、「最大」はラファエロでしょう。
高い評価の伴った絵画作品の数量がまったく違うのですから。

Raphael_seggiola001
『小椅子の聖母』(1513-4年)
私の一番好きな絵です。美しさ、愛らしさの極致。

その経歴
おおまかなラファエロの立ち位置、評価が解ったところで、
改めてそのキャリアを、ごくごく簡単に追ってみます。

1483年、イタリアのウルビーノの宮廷画家の家に生まれたラファエロは、
父の死と前後して1494年頃、11歳くらいで絵の修行を始めたとされます。

1500年(17歳)で画家として一人前の“親方”として登録。
1504年頃(21歳)に芸術の都フィレンツェに移住、売れっ子となり次々傑作を送り出します。
『大公の聖母』もこの頃、1505-6年頃の作品とされます。
しかし、芸術の都であったフィレンツェは競争も激しく、
ラファエロの顧客は専ら商人など個人が中心で、教会の壁画などの大作は残していません。
といっても、まだ二十歳そこそこだったのだから、無理からぬところだったのかも知れませんが。

1508年、ローマ教皇ユリウス二世に招かれてローマに移ったラファエロは、
教皇庁内の壁画を描く大仕事を受注します。
そこで代表作となる『アテネの学堂(アテナイの学堂)』を初めとする傑作を作り上げ、
20代半ばで当代随一の画家となりました。
そして、1520年に亡くなるまでの10年あまり、数多い顧客からの注文に応じて旺盛に創作に励み、
その名声は高まり続けました。

Atene_002
アテネの学堂』(1509-10年)


人物像
ラファエロは社交的で誰からも好かれる好人物だったといわれます。
大工房を経営し、多くの弟子を育てました。

教養も大変高く、早くから教皇庁の文書係、
後には文化庁長官のような役職にもつきました。
芸術家、学者、経営者、指導者、そして教皇庁高官、
いずれも超一流、非の打ちどころがありませんね。

一方で、結婚の記録はなく、女性に関しては奔放だったともされます。
死因は熱病とされてきましたが、性感染症との説もあるようです。
しかし、上に書いたような人物評価が定着しているのですから、
破滅型だったとは思えません。


無念
若くして画家として最高の栄誉を得て、死後は西洋画の規範となり、
その作品は現在、ヨーロッパ各国の大美術館の至宝となっています。
「世界中の美術館で」と書きたいところですが、なにせ欧州各国の宝物として保有され、
多くの作品が残っているにも関わらず、欧州以外にほとんど流出してこなかったのです。
アメリカにさえ、ごく僅かしかありません。もちろん、日本にはまったくないです。

それほどの実績を残してはいますが、その早過ぎる死はやはり残念でなりません。
晩年を迎え、その絵は更に進化と深化を続けているように思えるからです。
本人は死にあたり何を思ったのでしょう。
人の何倍、何十倍の密度で生きた人です。
充分と思ったか、いや、やはり無念だったのか。

Transfiguration_raphael
遺作『キリストの変容』(1520年)
バロック絵画を百年先取りしたかのような、
ダイナミックで躍動感溢れる構図、劇的な明暗表現、強烈な色彩。
後年は大工房で50人のスタッフを率い、多くの作品を仕上げていたラファエロですが、
この絵は、ほぼ自分一人で描いたと考えられています。
もっと長生きしていたら、どのような域に至ったのでしょう。
想像するのは楽しくもありますが、またはかなく切ないです。


「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/


Old Fashioned Club  月野景史

2013年5月 1日 (水)

【美術展】「ラファエロ | Raffaello 」国立西洋美術館/ルネサンス最大の画家 日本初の本格展

東京上野の国立西洋美術館にて6月2日まで、
「ラファエロ | Raffaello 」展が開催中です。
会期も残り一ヶ月となりました。

Raffaello_ten_001

「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)

午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/

ルネサンス美術の巨匠、ラファエロ・サンツィオ。
今回は日本初となる本格回顧展と位置付けられています。


ラファエロ・サンツィオ
(Raffaello Sanzio 1483年4月6日 - 1520年4月6日 37歳没)
※付記 ラファエロについてはこちらに超入門を記しました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並び、
ルネサンスの三大巨匠と称されるラファエロ。
短い生涯にも関わらず、残した絵画作品は他の二人と比べて遥かに多いです。
名作と呼ばれる絵も多数あります。

にも関わらず、日本で本格個展は今まで開かれてきませんでした。
なぜでしょうか?

ラファエロは生前からローマ教皇庁の圧倒的な支持のもと、大いなる名声を博しました。
没後も、その作品は西洋絵画の規範(canon=カノン)となり、
現在に至るまで、欧州各国の大美術館の至宝となってきました。
アメリカにもごく僅かしかありません。
そのような状況でしたので、なかなか代表的な作品の欧州以外への貸出しは実現しなかったのです。

21世紀を迎え、早や2013年、ようやく日本における西洋美術の殿堂、
国立西洋美術館での開催が実現したのです。
他の地域への巡回予定はありません。
西洋絵画ファンの方は是非お見逃しなく。


Raffaello_ten_000
『大公の聖母』(1505-6年)
本展の看板作品として来日・出展中。

ラファエロは「聖母子像の画家」と呼ばれています。
「聖母子画」とは、聖母マリアと幼いイエス・キリストを描いた絵のこと。
古くから信仰の対象として描かれてきましたが、
ラファエロは人間再生の時代ルネサンスを代表する画家に相応しく、
聖母子像に神聖さを残しながら、母の情愛、女性の美、幼児の可愛さといった、
人間的な魅力を両立させたのです。

本作はラファエロの聖母子画を代表する一枚。
18世紀末、トスカーナ大公のフェルディナンド3世が所有したことから、この名で知られます。
黒く塗られた背景から浮かび上がる聖母子の神々しさは至高の美です。
一方、この絵には色々と謎もあります。 ※その点はこちら


The_holy_family_2

『聖家族と仔羊』(1507年)
こちらは聖母子プラスアルファで「聖家族」です。

いうまでもなく左側の子羊にまたがる幼子がイエス、その右の女性が聖母マリアです。
では、右側のよぼよぼの老人は…?
マリアの夫、つまりイエスの父親であるヨセフです。

しかし、どう見ても赤ん坊に思えるイエスの父親にしては、少し年を取り過ぎていませんか? 
おとうさんというよりはおじいさんですよね。

実はこの絵のように、ヨセフは老人の姿で描かれることが多いのです。
聖母マリアは処女のまま、イエスを身籠ったとされます。
老人姿のヨセフは、そのマリアの処女性の象徴なのです。
これだけヨボヨボなら、子どもが作れそうには見えませんものね。

そういう関係なので、ヨセフはイエスの「養父」「義父」と表現されるのが一般的です。
この絵についてはこちらにも記しています。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年3月 3日 (日)

【美術展】ラファエロ展開幕 初日レポート 意外とゆっくり観れました/国立西洋美術館

2013年3月2日より、東京上野の国立西洋美術館にて、
待望の「ラファエロ」展が開幕しました。

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ラファエロ | Raffaello
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/

私は当日の16時30分頃に行ってみました。
閉館が17時30分なので、閉館1時間前というタイミングでした。

朝から混雑しているという情報がネットで流れていたので、
場合によったら見送ることも考えながら行きましたが、
まったく、行列もなく入場できましたし、
まずまずゆっくり観れました。

よかったのですが、初日土曜日の夕方にしては、少し寂しいかなとも感じました。
みんな警戒したのかも知れないですね。

とりあえず状況報告です。
鑑賞記はまた改めて。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年3月 1日 (金)

【美術展】ラファエロ、ルーベンス、ルノワール&ミュシャ “3R+1M”/2013年春の東京は美の祭典

3月になりました。

明日3月2日(土)より、上野の国立西洋美術館でラファエロ展が開幕します。
ルネサンス絵画最大の巨匠、日本初の本格回顧展です。
Raffaello_20130302


その一週間後の3月9日(土)、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、
バロック美術最大の巨匠、ルーベンス展がスタートします。 ※終了しました
Rubens_20130309


そして、このふたつ展覧会に先立ち、丸の内の三菱一号館美術館では、
ルノワールをメインとした、クラーク美術館展が開催中です。
Clark_20130209


・15~16世紀 ルネサンスのラファエロ・サンツィオ、
・17世紀 バロックのピーテル・パウル・ルーベンス
・19世紀 印象派のピエール・オーギュスト・ルノワール、

ラファエロ、ルーベンス、ルノワール、
奇しくも「R」の頭文字を持つ、時代を超えた三大巨匠の回顧展が
東京で同時期に開催されるわけです。

三大画家に共通するのは、「R」という頭文字だけではありません。
王道ともいうべき、理想的な美を描く達人達です。
美しき「3R」、私は勝手にそう呼んでいます。


更に、ルーベンス展と同じ3月9日には、
六本木の森アーツセンターギャラリーにてミュシャ展もスタートします。
「3R」に、美しさでは引けを取らないミュシャが加わるのです。
Mucha_20130309

・19~20世紀、アール・ヌーヴォーのアルフォンス・ミュシャ

3R+1M
春3月、東京は美の祭典を迎えます。
美術ファン、特に美しい西洋絵画の好む人達にとっては、最高の競演ですね。


開幕順に整理してみました。

奇跡のクラーク・コレクション ― ルノワールとフランス絵画の傑作
2013年2月9日(土)-5月26日(日)
三菱一号館美術館 (東京丸の内)
http://www.mimt.jp/clark/top.html

ラファエロ | Raffaello
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
国立西洋美術館(東京上野)
http://raffaello2013.com

ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア
2013年3月9日(土)-4月21日(日)
Bunkamuraザ・ミュージアム(東京渋谷)

ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展-パリの夢 モラヴィアの祈り
2013年3月9日(土)-5月19日(日)
森アーツセンターギャラリー (東京六本木)
http://www.ntv.co.jp/mucha


既に開催中のクラーク展の素晴らしさついては、
このブログでも賛辞を送らせてもらいました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-ad2e.html

まもなく開幕する、あと三つの展覧会はとうでしょうか?
おおいに期待しています。


Old Fashioned Club  月野景史

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